豊間・薄磯地区整備工事 豊間・薄磯地区整備工事
プロジェクトレポート

PROJECT REPORT

豊間・薄磯地区整備工事(福島県いわき市)

通常の造成工事とは違う、“街の再生を担う工事”、それがいわき市豊間・薄磯地区の災害復興工事だ。
青く美しい海と空の元、多くの人を呼び戻すため、丸磯建設が請け負っている造成工事は急ピッチで進んでいる。

通常の造成工事とは違う、“街の再生を担う工事”、それがいわき市豊間・薄磯地区の災害復興工事だ。
青く美しい海と空の元、多くの人を呼び戻すため、丸磯建設が請け負っている造成工事は急ピッチで進んでいる。

以前のように人々の笑顔が溢れる街へ。
安全で安心して暮らしていける街を創り出す

未曾有の被害を出した東日本大震災。復興工事と言われるところの多くで、丸磯建設が活躍しています。その中の一つが、福島県いわき市。高さ約8.5mもの津波に襲われ、甚大な被害を受けた薄磯・豊間地区では、現在、防災緑地や高台の宅地などの造成工事が進んでいます。

  • 土木部 工事課長 熊谷 由紀夫

    関東支店 土木部 工事課長 熊谷 由紀夫
    (薄磯地区担当)

  • 土木部 貝瀬 幸雄

    関東支店 土木部 貝瀬 幸雄
    (豊間地区担当)

安全性・快適性・利便性を兼ね備えた街を造る

復興工事は薄磯地区からスタートしました。最初に訪れたときの印象を、熊谷由紀夫所長はこのように話していました。
「現場に入った当時でもまだガレキ処理が終わっていませんでした。家の基礎部分なども残っていて、震災から2年経ってもTVで見たような風景が広がっていました。一度に全てのものを飲み込んでしまう、津波の恐ろしさみたいなのを感じました。」

元々街があった場所に街を再生させるという工事だが、工事内容自体はいつもと変わらないと言います。ただ、他の現場と大きく違うのは完成前と完成後の様子が大きく変わるということ。 「もともと海岸線とほぼ同じ高さに店舗や住宅が並んでいるような街でしたが、今回は海岸線と道路の間に高さ10mもの防災緑地を造り、そこから海抜20m程の高さまで住宅地が広がるようになります。造成される区画は、安全性・快適性・利便性を兼ね備えたもので、防潮堤ともなる防災緑地から海が見渡せる高台の住宅地まで、一つの街を造るようなイメージです。」

  • 塩屋崎灯台の下に広がる豊間・薄磯地区は、美しい風景が広がる場所

  • 海岸線に防波堤を造るとともに、新しい街を創出する作業を行っている

新たな思い出が
この地で生まれる事を祈って

もともと豊間・薄磯地区は、塩屋崎灯台の南側には「鳴き砂」で有名な豊間海水浴場が、北側には「日本の渚百選」にも選ばれた薄磯海水浴場がありました。現場の近くに都市計画事業の全容がわかる資料館があります。そこにはかつて多くの人で賑わった両海岸の航空写真、そしてこれから生まれ変わる街の計画図などが展示されています。3D映像による新しい街の風景も見ることができるので、いわき市に行った際は是非訪れてください。

  • 震災前の薄磯地区

    震災前の薄磯地区

  • 工事着手前・施行中の航空写真

    工事着手前・施行中の航空写真

コンストラクションマネージメント方式を採用し、工期を短縮

今回の工事の最大の目的は、工期の早さ。そのためにコンストラクションマネージメント(以下、CM)という方式が採用されています。
「通常の工事と大きく違うところは、発注形態の違いです。通常は、設計業務や申請業務が終わってから施工業者に工事発注がきますが、ここはCM方式という方法を採用しています。発注される前段階の設計などについても、いわき市の土地区画整理事業から都市再生機構に業務委託されるという形です。都市再生機構は今まで多くの大規模開発工事を行っているので、そのノウハウを活用して一括受注し、民間ならではの知恵と技術を取り入れるとともに、工程の短縮を図るのが目的です。具体的には、設計をしながら工事も同時に進んでいくというやり方。通常何年もかけて測量や設計をしてから実際の工事にはいるところ、同時進行でするのだから、工期を短くできるのです。」まだまだこの方式は一般的ではなく、同時進行ゆえの設計変更も生じるため、毎日行われる打ち合わせが欠かせないと言います。

  • 海を見渡す高台の宅地用造成地。ここに美しい街並みと、人々の笑顔か戻る日が待ち遠しい

ICT建機もテスト的に導入。人手不足解消に期待

丸磯建設は早くからICT建機を取り入れ、使用している実績があります。どの担当者でも同じように高品質の工事が進められるため、人手不足で悩む同業界には救世主のような機械。豊間地区担当の貝瀬所長は、 「この現場は初めから人手不足なんです。熟練のオペレーターを要所に配置して、他の部分をカバーするなど工夫はしていますが、ICT建機がドローンのように急速に発展してくれるとありがたいです。今はまだテスト的に導入している段階ですが、これからはICT建機の需要は必ず増えていきます。ドローンは使用していますよ。例えば、ドローンから得られた電子情報を他の工程に使うことで、生産性の向上や品質の確保等を図り、オペレーターの操作を簡素化することができます。以前ですと、測量やそれを元にして高さを計算するなど、データを作るのにとても時間がかかりました。ドローンだと空中から現場の写真を撮って、そこから得たデータを解析して、すぐに設計データを作ることができます。あとは進捗写真を撮るなど、様々に使えます。」 現在、豊間・薄磯の現場で4台程のブルドーザーで導入されています。今はまだ主流機械とは言えませんが、数年後にはドローンを含むICT建機が現場で当たり前のように使用され、人手不足の解消に繋がることを期待しています。

完成を待つ人のために、粛々と工事を進めること

「復興工事と言っても、私たちがする仕事は基本的に同じです。ここは軟岩で土が良いので工事もしやすいです。豊間地区では、半分が原生林のような林や使用されていない田畑などもあって、山を崩して土地を造成していくという意味では、全く普段と変わりません。ただ、出来るだけ早く、完成出来ればという思いで、皆、取り組んでいます。」
この工事に携わる、誰もが感じる思いでしょう。家族連れやサーファーなど、地元以外からも多くの人が訪れる未来を思い描いて、工事は今も続けられています。

工事概要

  • 薄磯地区
    工事名:豊間・薄磯地区整備工事(福島県いわき市)
    工 期:2014年4月〜2017年3月(予定)
  • 豊間地区
    工事名:豊間地区北側高台造成工事(福島県いわき市)
    工 期:2015年1月〜2018年1月
  • 発注者:独立行政法人 都市再生機構
  • 元請会社:豊間・薄磯震災復興JV
    (安藤ハザマ・五洋・西武・玉野総合・基礎地盤・いわき市震災復興事業JV)
  • 使用重機:油圧ショベル、ハイブリット機構搭載油圧ショベル4台